house-Karuizawa O
長野県軽井沢町に計画している、延床面積約80㎡の別荘である。
敷地は町の南、八風山から下る尾根筋の途中に位置し、接道面から約6mの高低差をもって斜面がせり上がる三角形の土地である。頂部の平場に立つと、樹々の向こうに浅間山が正面に姿をあらわす。この地形と眺望を最大限に生かし、建築は小さく、慎ましく建てることを試みた。
この平場には、二つの異なるスケールの軸線が重なっている。北方の浅間山頂へ伸びるマクロな軸線と、この土地が属する八風山山麓の尾根のミクロな軸線である。この二つをそれぞれ受け止めるかたちで、平面を「く」の字型に折り曲げ、そこに等高線がそのまま立ち上がったような急勾配の切妻屋根を架けた。
麓からは、蛇行する山道を登ってこの地にたどり着く。道路面からのアプローチはその延長として、建物の「く」の字型の平面に呼応するように折れ曲がり、折り返しながら少しずつ斜面を上っていく。この折れ曲がる経路をそのまま室内へと引き込み、登高の軌跡のクライマックスに、浅間山を正面に見据えるダイニングを配置した。シンプルな形状のなかに、敷地の起伏と眺望を一続きの体験として織り込む構成を目指した。
室内では、急勾配の屋根がそのまま勾配天井としてあらわれる。リビングの吹き抜けの上部には高窓を設け、見上げた先に樹々の梢を切り取った。高い樹々の下に身を置くような、縦に伸びる開放感のなかに、薪ストーブを据えている。
一方、建物の東の角にあたるダイニングでは、開口をコーナーで回し、周囲の樹々から遠方の山並みへと連なる風景を水平に広げた。東に開いたこの空間には朝の光が差し込み、隣り合うキッチンとともに、家族や来客が自然と集まる住まいの中心となる。あえて天井高さを抑えることで風景の広がりを際立たせ、落ち着いた居場所とした。
上階の寝室やゲストルームは勾配天井に沿って配置した。傾いた天井に包まれ、窓越しに樹々の緑を間近に眺める、屋根裏部屋のようなコージーな空間である。
主要な開口部は北面に集中するため、室内には直射光が入りにくい。そこで東・南・西に設けた窓の脇に、緑・黄・赤に彩色した壁面を配し、差し込む木漏れ日を受けとめて、色を帯びたやわらかな光として室内に拡散させる。玄関の緑の壁は、外部の斜面と樹々の気配を受け継ぎながら、室内の静けさへと気持ちを切り替える移行の場をつくる。東面に向いたキッチンの黄色は朝の光を増幅させ、住まいの中心にあたたかさを添える。二階へ上がる階段ホールの赤は、南面にそびえる樹々の緑を際立たせる。季節や時間の移ろいに応じて、それぞれの色の先に開かれた窓から、木漏れ日が室内へと入り込む。
斜面を上り、色を帯びた木漏れ日に包まれ、浅間山と向き合う。八風山の尾根に身を寄せながら、敷地を越えて広がる山々との関係を、小さな住まいへと引き込む計画である。
Site : 長野県
Year : 2026- on going
Total floor area : 80㎡
Structure : W
Contractor : ハピアデザイン
Structural design : 坂田涼太郎構造設計事務所
Landscape design: スタジオキョウリュウ
Collaborating Architect : 鈴木栄三郎














