Tacta

house-Kamiosaki



東京都内で計画中の住宅です。

敷地周辺は、武蔵野台地の先端に位置し、低地面である谷が複雑に入り組んで、舌状の丘を作り出しているエリアです。谷部分の最奥部に位置する敷地周囲は特に高低差が大きく、近辺を歩くことで地形の凹凸を肌で感じることができます。

我々は、間口が狭く奥行が長い敷地に対して、接道面に植栽ポットを一層分立ち上げて、住宅内部へのプライバシー性を確保しつつ、周囲に対しては豊かな緑を感じさせる柔らかいファサードを作ることを提案しました。

樹々を見上げる植栽ポットの隙間を「谷」と見立てて住宅へのアプローチ動線とし、あえて高さを抑えたほの暗い印象の玄関へと入っていきます。階段を上がった先には、目の前に緑が広がる「丘」の上を感じさせる明るく開放的な空間が待っています。地形のダイナミズムを住宅に取り入れた、「谷」から「丘」へ至る住まいです。

構造的には、RCの腰壁を段状にレベルをずらしながら設け、その上に高さを揃えた門型の木造フレームを載せることで、眺望を遮る側に耐力壁を設けず、南北に抜けた開放的な空間を実現しています。三段の屋根のレベル差から生まれる隙間で奥行の長い建物に採光を確保し、家中を光に満ちた計画としています。

常緑樹主体の庭は蒸散作用が高く、樹々の間を抜けてくることで風が冷やされます。南からの風を取り入れ、最も高さのある北側の奥から抜く通風に配慮した窓配置とすることで、中間期は窓を開けて快適に過ごせます。冬季は吹き抜け上に溜まった暖気をダクトで地下階まで循環することで、過度に空調に頼らない計画としています。


周囲の地形と敷地の条件を精緻に読み解いた「谷」から「丘」へと続く空間の流れを通じて、土地に根付いた感覚を持てる暮らしを目指しています。


Site : 東京都

Year : 2024-  on going

Total floor area : 120㎡

Structural engineer : 坂田涼太郎構造設計事務所

Contractor : 栄伸建設