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東静岡駅前の都市デザインの提案です。
静岡駅に隣接する東静岡駅周辺は、アリーナ整備や県立図書館の建設を契機に、大きな変化の時を迎えています。この街の20、30年後の街の将来像を描くべく、街づくりの基本構想のためのコンペが行われました。

現状の東静岡駅周辺は、国道やJR、静岡鉄道など東西方向の交通が主要動線を形成しており、南北の流れが分断される構造となっています。また、朝夕には交通の集中が課題となっています。
文化・スポーツの拠点整備や周辺エリアの人口増加に対応するため、東静岡駅と長沼駅、アリーナ、図書館を安全かつ快適に結ぶペデストリアンデッキを中心に、実現可能性を重視した提案が求められました。

我々は、既存の東西方向の道に注目し、東静岡の持つ地歴や現在の建物機能、歩行空間を綿密に分析することで、それぞれの道にふさわしいテーマを設定しました。

東海道の賑わいを復活させる商店を軸とした「商いの道」、街路樹と自転車道を再整備して、文化的で緑にあふれた印象を作る「緑の道」、車道を一方通行化して幅員を減らし、アリーナと連動してランニングコースや道沿いの健康器具で多世代が気軽に利用可能な「運動の道」古代東海道の存在を顕在化させる散策路となる「歴史の道」、歩車道を一体化させ、グランシップや図書館の広場と道を一体的に使える「文化の道」の5つです。それぞれの道ごとに舗装やサイン計画、街路樹の計画にコンセプトを与えることで、人と乗り物の速度を道ごとにデザインし、既存街区を大きく変えない最低限の操作でエリアごとの個性を際立たせました。

南北方向は、東西方向の道の特徴を織り交ぜる形でデザインすることで、駅周辺全体の回遊性を向上させる設計としました。2つの駅を南北方向に接続するペデストリアンデッキは「展望の道」として計画。混雑が予想される東静岡駅側は、駅コンコースの幅に合わせて最短経路でアリーナにつなぐ一方、長沼駅側に向かうほど経路を分岐させて街並みになじませ、既存街区や建築と共存させます。今後の協議により調整しやすいやわらかい有機的な計画とし、既存道路に対して角度を振ることで、地上が暗い印象とならないように配慮しました。

「富士見の大階段」は、富士山やバスケットゴールを想起させるすぼまった形で地上とデッキレベルを接続し、「緑の道」の樹々によってフレーミングされた富士山を正面にのぞむ、東静岡ならではの特徴ある景観を作ります。

既存街区の特徴を丁寧に観察し、最小限の操作で街の個性を引き出す「道の編み目」を構築することで、駅を中心に賑わいが時間をかけて街に広がる未来を目指しています。
地元出身の建築、ランドスケープの設計者とタッグを組み、実現可能なプロセスや推進体制と合わせて提案を行いました。

「まちづくりアイデアコンペ in 東静岡」 入賞

https://www.city.shizuoka.lg.jp/s5698/s012535.html


Site : 静岡県

Year : 2024

Design partner : Research+Design School in 静岡 ( 高田彩美(ayami takada architects) 北川言(針谷建築事務所) 久保田貴大(鳳コンサルタント) )